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【2026年度診療報酬改定】改定のポイント・スケジュール・注目テーマをわかりやすく解説!

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〜物価高と人件費上昇、そして国民皆保険の未来〜

2026年度に予定されている診療報酬改定に向けた議論が、本格的に始まりました。今回の改定では、「物価・人件費高騰への対応」と「保険料負担軽減、国民皆保険の持続可能性の確保」という、相反するともいえる二つの大きなテーマが掲げられています。

本記事では、改定を取り巻く制度的背景、スケジュール、各分野の検討課題、政策論点、そして現場への影響までを広く・深く掘り下げて解説していきます。


■ 診療報酬改定とは何か?マクロとミクロの両面から見る意義

診療報酬は、医療機関の収入を決定するミクロの仕組みであると同時に、国の医療政策を反映するマクロの制度でもあります。単なる点数の加減だけではなく、国が実現したい医療のかたち──たとえば、地域完結型の医療提供体制、多職種連携、在宅医療の推進など──を診療報酬で「誘導」していくという制度的な意味合いが込められています。

特に近年の改定では、「人生100年時代」を見据えた全世代型社会保障の実現や、「医療・介護の地域完結」を目指す地域包括ケアシステムが政策軸となっており、2026年度改定はその集大成ともいえる重要な節目といえます。


■ 改定に向けたスケジュール:DX時代のプロセスはどう変わる?

診療報酬改定のプロセスは大きく以下の3つの段階に分かれます:

  1. 基本方針の策定(医療保険部会・医療部会)
  2. 改定率の決定(内閣・財務省)
  3. 具体点数の議論(中医協)

今回の2026年度改定では、DX(診療報酬改定のデジタル対応)の影響を受け、施行時期が4月から6月にずれる可能性が高いとされています。これは2024年度改定と同様、オンライン請求や点数通知の電子化に向けた準備期間の確保が背景にあります。

▼ 具体スケジュール

  • 2025年4〜9月:総論の審議(医療全体の課題整理)
  • 2025年10〜12月:各論の審議(分野別の具体的検討)
  • 2025年12月中旬:基本方針決定
  • 2026年1月中旬以降:個別項目の答申案提示(短冊)
  • 2026年3月末:告示・疑義解釈
  • 2026年6月1日:改定点数施行(予定)

このDX化に伴うスケジュール変更により、施設側の準備期間が増える一方、点数発表から施行までの短期間に対応を求められるため、現場の負担は決して軽くありません。


■ 対立する2つの論点:「賃上げ」と「保険料負担軽減」

今回の改定の最大の焦点は、「物価・人件費高騰への対応」と「保険制度の持続可能性」という、相反するテーマの調整です。

▼ 医療従事者の処遇改善

2023年の最低賃金改定では全国平均が時給1,000円を超え、2024年にはさらに上昇が見込まれています。しかし、診療報酬改定率は2022年度が+0.43%、2024年度が+0.88%にとどまり、病院やクリニックの実質的な賃金上昇には追いついていません。

診療報酬で全職種へのベースアップをどう実現するか、医療従事者のモチベーションや人材確保に直結する重要な論点です。

▼ 保険財政の持続性

一方で、社会保険料や税負担は限界に達しつつあります。特に現役世代の負担感は大きく、「給付の適正化」「効率化」は避けて通れない道となっています。

このジレンマの中で、どこに診療報酬という「インセンティブ」を配分し、どの医療行為に対して公的保険を重点化していくかが、国の医療戦略を左右する鍵となります。


■ 各分野の専門委員の意見──論点は構造改革の是非へ

社会保障審議会・医療保険部会の議論では、各分野の専門家から以下のような発言がありました:

  • 日本医師会(城守委員):「ベースアップ対象職種の拡大が必要。2024年度改定の不合理な点の修正に留めるべき」
  • 高齢者福祉(袖井委員):「国民の理解がなければ制度は立ち行かない。負担軽減の議論を避けてはならない」
  • 健保連(佐野委員):「保険者としては制度維持に強い危機感がある。診療報酬で対応すべきかどうかの仕分けが必要」
  • 経済界(横本委員):「医療機能の分化や集約化、DX推進など構造改革の推進を評価に盛り込むべき」

こうした発言からは、単なる点数調整の域を超えて、医療制度そのものの再設計が求められていることが伺えます。


■ 医療DX:マイナ保険証と電子カルテの現場対応

医療DX関連でも、2026年度は大きな転換点を迎えます。

▼ マイナ保険証

  • 2025年7月末で紙保険証廃止
  • 2025年9月19日からスマホ版マイナ保険証が一部スタート
  • 「黒丸文字」の文字化け対応、資格確認書の取り扱い議論も続く

▼ 電子カルテ標準仕様

  • 2026年度中にクラウド型標準電子カルテ仕様を完成
  • 特定機能病院はオンプレミス型からの段階的更新
  • 2030年を目標に全国導入を目指すが、現場のITインフラ整備は地域差あり

現場では、データ提出加算やICT活用の加算項目が新設・強化される可能性があり、早期対応が求められます。


■ 注目の改定分野【一覧】

以下のような分野ごとに、課題と評価の見直しが進んでいます。

分野改定の方向性(例)
高度急性期ICUの機能分化、医師配置要件の見直し
外来全人的診療の評価、2人主治医制の推進、逆紹介の強化
在宅医療災害・急変対応、マンパワー不足、多職種連携の再評価
リハビリ早期介入、専従要件の緩和、書類負担の軽減
慢性期・療養嚥下・認知症対応、医療区分評価、在宅復帰の評価
食事療養嚥下調整食や特別食加算の検討
地域医療医師・看護師不足地域の支援、オンライン診療の評価

■ 最後に:現場の対策と情報収集の重要性

今回の2026年度改定は、単に点数の増減ではなく、医療提供体制そのものを問い直す大改革の様相を呈しています。

▼ 現場の対策として必要なこと:

  • 施設基準の見直しと実績積み上げ
  • 対象加算の届出状況の確認
  • ICTやDX投資への中長期的備え
  • 医療連携・地域包括ケアの実効性強化

診療報酬制度は複雑で情報も氾濫しています。ネットのAI生成や断片的な投稿に惑わされず、正確な情報源とプロの視点をもとに、計画的に準備を進めることが不可欠です。

本記事がその一助となれば幸いです。

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