どーももんたです。
今回はエコー検査のアーチファクトについてです。
アーチファクトは人工物などの意味があり、wikipediaでみると『生物学などで、本来は生物体内に存在せず、固定などの実験操作によって細胞・組織内に生じた構造物。人為構造』となっています。
今回はエコー検査のアーチファクトなので簡単にいうと音の反射などによって起こる虚像のことをいいます。
このアーチファクト、邪魔者になることも多いですが診断の手助けになることもあります。
どんなものがあるのか?どうやったらでにくくなるのか?アーチファクトの利用法は?
などなどまとめていきます。
アーチファクトをどかすには?
アーチファクトの種類をみてきたので今度はどかすための方法を一覧でまとめていきます。
名称 | 方法 |
サイドローブ | ゲインを低く、ダイナミックレンジを狭く |
グレーティングローブ | エレメントピッチ一定→周波数を低く 周波数が一定→エレメントピッチを小さく 偏向角度を小さく ビーム方向を正面に |
多重反射 | プローブの当てる角度を斜めにする (プローブまでの距離を長くする) 高周波プローブにする ゲインを下げる |
鏡面現象(ミラーイメージ) | プローブの当てる方向を変える |
虚像 |
それぞれ表にまとめてみました。
実際の検査でよく意識するのは腹部エコーの多重反射ではないでしょうか
しかし少し当てる角度を変えるだけでも思った以上に見えやすくなります。
ただ完全にどかすのは難しいかもしれません。
体位変換やいろいろな方向からプローブをあてみることでこういった死角を減らして見落としの少ない検査を心がけましょう。
アーチファクトの種類
まずはいくつかのアーチファクトを挙げ、どんなものかをみていきましょう。
サイドローブ
超音波はプローブから送信方向の中心軸上の音圧の高いメインローブと中心軸から離れた斜め方向に放射されるサイドローブがあります。
超音波装置はメインローブからの反射のみを想定しているため、サイドローブの先に強い反射体があるとズレが生じアーチファクトとなります。
サイドローブはメインローブの1/5〜1/10程度です。
リニア、セクタ、コンベックスどれでも起こり得ます。
また単一振動子や配列型でも発生します。ただしこの2つは少ないです。
グレーティングローブ
配列型振動子で起こるアーチファクトでサイドローブの一種です。
波の合成によって目的の方向とは別の方向に合成される現象です。
特にセクタで起こりやすいですがコンベックスやリニアでも起こります。
多重反射
強い反射体が平行にある場合、プローブと反射体の間で何回も往復することで起こります。
対象とプローブなどの面との距離に等しい間隔で表示されます。
胆嚢の壁在結石の時にみられるコメット様エコーはこの多重反射によって起こります。
多重反射は周波数とは関係ないです。
鏡面現象(ミラーイメージ)
ビームに対して強い反射体が斜めにあると起こります。
横隔膜がこの反射体になりやすいです。
画面上に実像がなくても虚像のみが出てくる場合もあり、それは蜃気楼現象と言います。
虚像
屈折によってできるアーチファクトのことを示します。
周囲の音速と異なる物がある時、ビームの屈折により虚像がでることがあります。
球形のものの音速が周囲の音速より速い場合はビームが拡散し、遅い場合は集束します。
簡単に表でまとめます。
名称 | 概要 |
サイドローブ | メインローブとは別の斜め方向にでたビーム |
グレーティングローブ | メインローブ以外に合成される波の面 |
多重反射 | プローブと反射面の間を何往復もする |
ミラーイメージ | 強い反射体が鏡のような働きをしアーチファクトを発生する |
虚像 | 屈折による虚像 |
どんなアーチファクトがなぜ起こるかをまとめました。
実際検査をしている時はあまり考えないかもしれません。
しかし
実際邪魔なアーチファクトをどかしたいと思った時、その原因がわかるとその原因を取り除くことでアーチファクトが減ったり、それが本当の像なのか、虚像なのかの判別ができる様になります。
まとめ
今回はエコー検査のアーチファクトについてでした。
アーチファクトがなぜ起こるのかこの原因を知ることでどうしたら減らせるかがわかります。
日々の検査の描出においてアーチファクトがでたときどうどかしてけば良いか
写っているものが実像なのか虚像なのかはどう鑑別するか
この辺りがわかるようなものになっていると思います。
アーチファクトをどかすためにも見落としをなくすためにも一つの臓器に関していろいろな角度から観察をするのが良いと思います。
例えば腹部エコーの胆嚢も底部は多重反射の影響を受けやすいですがプローブの当てる角度や走査方法を変えるだけでみえるようになります。
複数の走査法でみることでくびれていて見えなかった部分も見えてきます。
今回の記事も日々の検査に少しでも役に立てば良いと思います。
ではでは。
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