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ベースアップ評価料2026は5月からでも間に合う?届出・補助金・運用について解説

診療報酬

2026年度診療報酬改定では、医療機関の賃上げ対応としてベースアップ評価料が大きく見直されます。

クリニックにとっても、今回のベースアップ評価料は無視できない制度です。

点数が引き上げられ、対象職員も広がり、外来数が多いクリニックでは年間数十万円〜100万円以上の評価料収入になる可能性があります。

ただし、ここで最初に押さえておきたい重要な点があります。

ベースアップ評価料は、クリニックの利益を増やすための加算ではありません。

診療報酬として収入は増えますが、その収入は原則として職員の賃金改善に充てる必要があります。

つまり、クリニックにとっては「増収」ではあっても、「そのまま利益が増える制度」ではないということです。

本記事では、クリニック向けにベースアップ評価料2026について、

  • 5月からでも間に合うのか
  • 何から始めればよいのか
  • どれくらい評価料収入が見込めるのか
  • 補助金とはどう関係するのか
  • 書類はどう作るのか
  • 継続運用で失敗しないためにはどうすればよいのか

を、実務目線でわかりやすく解説します。

※制度全体の仕組みや総論は、別記事「ベースアップ評価料2026|総論編」で詳しく解説しています。

ベースアップ評価料2026とは?届出・報告・注意点を解説【総論編】

ベースアップ評価料はクリニックも対応すべき?

結論から言うと、多くのクリニックでは前向きに対応を検討すべき制度です。

理由は、ベースアップ評価料が単なる点数上乗せではなく、今後のクリニック経営における「人材確保」「離職防止」「給与設計」に関わる制度だからです。

特にクリニックでは、病院と比べてスタッフ数が少ない分、1人の退職や採用難が現場に与える影響が大きくなります。

たとえば、

  • 看護師が退職して外来が回らない
  • 医療事務が定着せず受付・会計が不安定になる
  • 検査技師やリハ職の採用が難しい
  • 他院との給与差で人材が流れる

といった課題は、クリニック経営に直結します。

ベースアップ評価料は、こうした人材面の課題に対して、診療報酬上で賃上げ原資を確保するための制度です。

そのため、クリニックでは「やるか・やらないか」ではなく、どう設計し、どう運用するかが重要になります。

ベースアップ評価料は「利益」ではなく「賃上げ原資」

まず誤解しやすいポイントを整理します。

ベースアップ評価料を算定すると、診療報酬としての収入は増えます。

しかし、その収入はクリニックの利益として自由に使えるものではありません。

ベースアップ評価料は、職員の賃金改善に充てることが前提の制度です。

つまり、クリニック側から見ると次のようになります。

見え方実際の意味
診療報酬収入が増える売上は増える
職員へ賃上げが必要人件費も増える
評価料収入を賃上げに使う利益増とは限らない
報告が必要運用管理が必要

ここを間違えると、「評価料が入るから利益が増える」と考えてしまいます。

しかし実際には、賃上げしたいけれど原資がないという課題を、診療報酬で補う制度と考えるのが正確です。

そのため、ベースアップ評価料は「儲かる加算」ではなく、スタッフの処遇改善を継続するための財源づくりと捉える必要があります。

5月からでも間に合う?

結論として、5月からでも間に合います。

ただし、余裕があるわけではありません。

2026年6月以降にベースアップ評価料を算定する場合、すでに算定している医療機関も含めて、改めて届出が必要です。

厚生労働省の特設ページでも、これまで届け出ていた医療機関を含め、すべての医療機関は5月中に届出が必要とされています。

令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について

つまり、5月から対応する場合は、

「5月から情報収集を始める」ではなく、5月中に届出まで進める

というスピード感が必要です。

5月に入ってから動く場合、やるべきことは次の通りです。

時期やること
5月上旬自院区分・対象評価料・対象職員を確認
5月上旬〜中旬直近の外来実績を集計し、賃上げ額を検討
5月中旬届出様式を作成・確認
5月中旬〜下旬地方厚生局へ提出
6月算定開始・賃上げ実施
6〜7月月次管理表に記録
8月中間報告・実績報告に対応

5月からでも間に合いますが、届出だけで終わりではありません。

6月から算定する場合、8月には中間報告が必要になるため、届出と同時に管理体制まで作っておくことが重要です。

クリニックで関係するベースアップ評価料はどれ?

クリニックで主に関係するのは、外来・在宅ベースアップ評価料です。

特に多くの無床診療所では、まず外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を確認することになります。

一方で、外来患者数が少ない一方で対象職員が一定数いる場合など、評価料(Ⅰ)だけでは十分な賃上げ原資にならないケースでは、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)を検討することになります。

ざっくり整理すると、次のようなイメージです。

評価料位置づけ主な対象
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)基本となる評価料多くの外来クリニック
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)(Ⅰ)だけでは不足する場合の上乗せ外来数に対して職員数が多い施設など
入院ベースアップ評価料入院医療に関係有床診療所・病院

クリニック編では、まず(Ⅰ)を軸に考え、必要に応じて(Ⅱ)を確認する流れが現実的です。

2026年改定で何が変わったのか

2026年度診療報酬改定では、ベースアップ評価料の点数が大きく見直されました。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)では、新規に賃上げを行う医療機関と、継続して賃上げを実施している医療機関で点数が異なります。

新規に賃上げを行う場合

区分2026年6月〜2027年5月
初診17点
再診4点

継続して賃上げを行っている場合

区分2026年6月〜2027年5月
初診23点
再診6点

ポイントは、継続して賃上げを行っている医療機関の方が高く評価されることです。

さらに、2027年度には段階的に点数が引き上げられるため、対応しているクリニックと対応していないクリニックの差は今後さらに広がる可能性があります。

クリニックでいくら評価料収入が見込める?

ここは多くの院長・事務長が気になる部分です。

たとえば、以下のようなクリニックを想定します。

  • 1日60人来院
  • 月20日診療
  • 初診20人
  • 再診40人

この場合、外来数に応じて評価料収入が発生します。

外来数が多いクリニックでは、年間で数十万円〜100万円以上の評価料収入になる可能性があります。

ただし、ここで大事なのは、先ほども触れた通り、その収入は職員の賃上げに充てる必要があるという点です。

つまり、見るべきなのは「いくら増収するか」だけではありません。

見るべきなのは、

  • 評価料収入はいくら見込めるか
  • その範囲でどれくらい賃上げできるか
  • 社会保険料などの事業主負担も含めて成り立つか
  • 毎月継続して支給できるか

です。

評価料収入を超えて賃上げ設計をしてしまうと、クリニック側の持ち出しが増える可能性があります。

一方で、評価料収入を十分に賃金改善へ充てられていない場合は、報告時に問題となる可能性があります。

そのため、クリニックでは「大きく上げる」よりも、継続して安全に回せる金額で設計することが大切です。

補助金は具体的に何がある?

クリニックで見落としたくないのが、ベースアップ評価料と補助金・支援金の関係です。

過去の支援策では、無床診療所向けに以下のような支援が示されています。

支援内容金額の目安目的
診療所等賃上げ支援事業1施設15万円賃上げ原資の支援
診療所等物価支援事業1施設17万円物価高騰への対応

この2つを合わせると、無床診療所では合計32万円規模の支援になるケースがあります。

ただし、こうした支援は、ベースアップ評価料の届出や賃上げ対応と関連する場合があります。

そのため、ベースアップ評価料を算定しないことで、診療報酬だけでなく、補助金・支援金の取りこぼしにつながる可能性があります。

ベースアップ評価料は単独で考えるのではなく、診療報酬・補助金・人件費・物価高騰対策をまとめて確認する制度として見る必要があります。

特に5月以降に対応する場合は、まず自院が利用できる支援制度がないか、自治体や医師会、厚労省情報を確認しておくとよいでしょう。

5月から始める場合、何をしたらよい?

5月から対応する場合は、次の順番で進めるとスムーズです。

1. 自院の区分を確認する

まず、自院がどの区分に該当するかを確認します。

  • 無床診療所
  • 有床診療所
  • 歯科診療所
  • 在宅医療を行う診療所

施設区分によって、確認すべき評価料や様式が変わります。
厚労省の特設ページでは、無床診療所・有床診療所・病院など、施設区分ごとの早見表や様式が案内されています。

2. すでに算定しているか確認する

次に、現在ベースアップ評価料を算定しているかを確認します。

ここで重要なのは、すでに算定しているクリニックでも再届出が必要ということです。

  • すでに算定中 → 再届出が必要
  • これから初めて算定 → 新規届出が必要

どちらも、6月以降に算定するなら5月中の対応が必要です。

3. 届出様式を確認する

届出様式は、厚労省の特設ページに掲載されています。
医療機関向けには、ベースアップ評価料届出様式が案内されています。

まずは自院が外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)でよいのか、必要に応じて(Ⅱ)も確認するのかを整理します。

4. 対象職員を整理する

届出前に、対象職員を一覧化しておきます。

整理する項目は、以下の通りです。

確認項目内容
氏名対象職員の把握
職種看護師、事務、検査技師など
常勤・非常勤勤務形態の確認
勤務時間常勤換算に必要
対象職員に含めるか対象・対象外の判断
賃上げ対象にするか支給設計

2026年度改定では対象職員が拡大されますが、経営者や法人役員などは対象外とされています。

院長家族、法人役員、非常勤、派遣、業務委託がいる場合は、自己判断せず確認が必要です。

5. 直近の外来実績を集計する

次に、算定見込みを出すために直近の実績を確認します。

最低限、以下を確認しましょう。

  • 直近1か月の初診件数
  • 直近1か月の再診件数
  • 訪問診療件数
  • 月の診療日数
  • 対象職員数
  • 現在の給与総額

ここを確認しないまま賃上げ額を決めると、評価料収入よりも支給額が大きくなり、クリニック側の持ち出しが増える可能性があります。

6. 賃上げ方法を決める

クリニックで現実的なのは、いきなり基本給を大きく上げるより、まずはベースアップ手当として毎月固定で支給する方法です。

理由は、

  • 評価料収入との対応が見えやすい
  • 記録しやすい
  • 報告時に説明しやすい
  • 制度変更時に調整しやすい

からです。

ただし、手当として支給する場合も、就業規則や給与規程との整合性を確認する必要があります。

労務に関わる部分なので、可能であれば社労士に確認するのが安全です。

7. 月次管理表を作る

5月中に届出だけでなく、6月以降に回せる管理表も作っておきます。

評価料収入賃上げ支給額法定福利費見込み差額確認者
6月〇円〇円〇円〇円〇〇
7月〇円〇円〇円〇円〇〇
8月〇円〇円〇円〇円〇〇

6月から算定を開始すると、8月には中間報告が必要になります。
つまり、算定開始からすぐに報告準備が始まります。

書類作成時のポイント

施設区分を間違えない

無床診療所、有床診療所、歯科診療所、在宅医療の有無によって確認する項目が変わります。

まずは厚労省の早見表で、自院がどの区分に該当するかを確認しましょう。

対象職員を正しく整理する

対象職員を誤ると、報告時に修正が必要になる可能性があります。

特に注意したいのは、

  • 院長家族
  • 法人役員
  • 非常勤職員
  • 派遣職員
  • 業務委託職員

です。

対象になるか迷う職員がいる場合は、厚生局や社労士などに確認しましょう。

「評価料収入=配れる金額」ではない

賃上げには法定福利費も関係します。

給与を上げれば、社会保険料の事業主負担も増えます。

そのため、評価料収入をそのまま手取り増額分として配分すると、クリニック側の負担が想定より大きくなる可能性があります。

届出時点で報告を見据える

ベースアップ評価料は、届出して終わりではありません。
報告に備えて、届出時点で以下を決めておきましょう。

  • 誰が管理するか
  • 何を毎月記録するか
  • 評価料収入をどこで確認するか
  • 給与支給額を誰が確認するか
  • 8月報告を誰が担当するか

継続運用のコツ

ベースアップ評価料は、書類を出すよりも、継続して運用する方が難しい制度です。

クリニックで回すためには、次の仕組みが必要です。

1. 月次管理を行う

年1回まとめて確認するのは危険です。

評価料収入は患者数によって変動します。

一方で、賃上げ額は毎月固定になりやすいため、収入と支出にズレが出ることがあります。

毎月、少なくとも以下を確認しましょう。

  • 評価料収入
  • 賃上げ支給額
  • 法定福利費
  • 差額

2. 担当者を決める

「誰かがやっているだろう」は一番危険です。

ベースアップ評価料は、

  • 医事
  • 労務
  • 給与
  • 経営

にまたがる制度です。

そのため、事務長や医事責任者など、主担当を明確にする必要があります。

3. 医事と労務の数字をつなぐ

医事側は評価料収入を把握できます。
労務側は賃上げ支給額を把握できます。

しかし、この2つが連携していないと、評価料収入と賃金改善額の差が見えません。

月1回でよいので、

  • レセプト側の評価料収入
  • 給与側の支給額
  • 社会保険料の事業主負担

を照合する時間を作ると、運用ミスを防げます。

4. 「足りない・余る」を早めに把握する

評価料収入は患者数によって変動します。

そのため、

  • 思ったより患者数が少なく評価料収入が足りない
  • 思ったより算定額が多く、賃金改善への充当が不足する

というズレが起きます。

このズレを8月直前や年度末に把握すると対応が難しくなります。

毎月、または少なくとも四半期ごとに確認することが重要です。

患者への説明も準備しておく

ベースアップ評価料は、患者負担にもわずかに影響します。

そのため、受付や会計で患者さんから質問される可能性があります。

よくある質問としては、

  • なぜ少し高くなったのか
  • これは何の加算なのか
  • 毎回かかるのか

などが考えられます。

現場で説明がばらつかないように、シンプルな説明文を用意しておくと安心です。

たとえば、

この評価料は、医療機関で働く職員の処遇改善を目的とした制度です。
国の診療報酬改定に基づき算定されています。

といった説明で十分です。

患者説明まで準備しておくことで、受付スタッフの不安も減らせます。

クリニックは結局やるべきか?

結論として、一定の外来数があり、月次管理を行えるクリニックであれば、前向きに算定を検討すべき制度です。

理由は3つあります。

1. 賃上げ原資を確保できる

人件費が上がる中で、評価料を算定しない場合、賃上げ原資を自院で確保する必要があります。

2. 採用・定着に関係する

今後は、給与水準を維持・改善できるクリニックほど、人材確保で有利になります。

3. 未対応施設との差が広がる

2026年、2027年と段階的に点数が上がるため、対応しているクリニックとそうでないクリニックの差は広がります。

一方で、次のような場合は慎重に検討が必要です。

  • 管理担当者がいない
  • 対象職員の整理ができていない
  • 賃上げ額と評価料収入を管理できない
  • 報告書作成の体制がない

つまり、ベースアップ評価料は「取るかどうか」ではなく、取った後に回せる仕組みを作れるかがポイントです。

まとめ|クリニックでは「届出」より「運用設計」が重要

2026年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料は、クリニックにとって重要な制度です。

外来数が多いクリニックでは、年間数十万円〜100万円以上の評価料収入になる可能性があります。

しかし、その収入はクリニックの利益ではなく、職員の賃金改善に充てることが前提です。

そのため、ベースアップ評価料は、

「利益を増やす加算」ではなく、賃上げ原資を確保する制度

と考える必要があります。

5月からでも対応は間に合います。

ただし、5月中に届出を行い、6月から算定・賃上げを開始し、8月報告に向けて記録を残す必要があります。

最後に、クリニックで押さえるべきポイントを整理します。

  • 5月からでも間に合うが、5月中の届出が重要
  • すでに算定中でも再届出が必要
  • 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を中心に確認する
  • 必要に応じて評価料(Ⅱ)も検討する
  • 評価料収入は利益ではなく賃上げ原資
  • 法定福利費も含めて設計する
  • 補助金・支援金との関係も確認する
  • 月次管理表を作る
  • 8月報告を見据えて記録を残す
  • 患者・スタッフへの説明も準備する

ベースアップ評価料は、届出そのものよりも、継続して回せる仕組みづくりが重要です。

クリニック経営において、スタッフの賃上げは避けて通れないテーマになっています。

だからこそ、ベースアップ評価料を単なる制度対応で終わらせず、人材確保と安定運営につなげる視点で取り組むことが大切です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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