超音波検査をやる上で、実際の描出方法も大事ですがレポートも大切です。
自分がみた検査を医師や他のメディカルスタッフなどに伝えるためには、ちゃんとした用語を使用しなければなりません。
そこで今回は基本的な用語のおさらいをしようと思います。
- エコーレベル
- エコーパターン
- エコー性状
- 形状や境界
なにか腫瘤様のものや結石などが見えた時に書くべきポイントとその用語、それぞれの意味合いについてまとめてみました。
もし自分が見つけたものが診断しきれなかったとしても、この記事に挙げた内容を書くだけでもそのものの性状がわかりヒントとなります。
独り立ちをしている方には当たり前の内容かもしれません。
初学者~初心者向けだと思ってご覧ください。
以前挙げた記事を見直し、少し編集しました。
エコーレベル
エコーレベルは対象となるものの輝度が同一深度の周囲組織と比べどうかを表します。
例えば肝臓内の腫瘤ならば肝臓と比べて輝度はどうかを比べて判断します。
画像の色でいうと白から黒色の順で強エコー高エコー、等エコー、低エコー、無エコーで分類されます。
迷ったときは低エコー~等エコーといったような表記もします。
名称 | 英語 | 対応する構造 | 画像色 | 病態 |
強エコー | strong echo | 密度が極端に異なる | 真っ白 | 結石、石灰化など |
高エコー | hyper(high) echo | 反射面が多い | 白 | スポンジ、脂肪など |
等エコー | iso echo | 周囲組織と同等 | 周囲組織と同色 | 充実性腫瘍など |
低エコー | hypo echo | 比較的均一 | 黒 | 悪性リンパ腫など |
無エコー | cystic echo | 反射がない | まっ黒 | 液体 |
エコー性状
対象部分のむらがどうか、性状が一定かどうかなどを表します。
- 均質:むらがなく性状が一定である
- 不均質:むらがあり性状、性質に偏りがある
エコーパターン
腫瘤内のエコーパターンにおいて無エコー部分が占める割合により分類されます。
これで腫瘤内部の成分が液体が多いのか、充実性成分が多いのか判断します。
下記の割合を参考に使い分けてください。
- 嚢胞性(cystic):腫瘤内の80%以上が無エコー
- 混合性(mixed):腫瘤内の20%~80%以上が無エコー
- 充実性(solid):腫瘤内の20%未満が無エコー
腫瘤など形状
全体の形や表面のいびつさで整、不整と表現します。
悪性ほど不整でぎざぎざ、いびつなかたちをしてます。
- 整(regular):円形(round)、楕円形(oval)
- 不整(irregular):多角形(polygonal)、分葉形(lobulated)
大きさ
基本的に長軸と短軸(1か所とった画像と90°プローブを回転させて取った画像)の2枚をとり測定します。
長軸像で撮った一番長い所×その直角×短軸像で撮った横
で測定します。
境界
腫瘤の外と内の境界部分の明瞭性と性状を表します。
- 境界(border):腫瘤と非腫瘤部分の境を表す。
- 辺縁(margin):腫瘤やの外側域で境界の近傍。組織の外側域も辺縁という。
- 周辺(periphery)
境界の明瞭性に関しては周囲組織への浸潤の評価に非常に重要です。
また腫瘍の周りに皮膜や血管があると境界部が低エコー帯(halo)となります。
後方エコー(posterior echo)
腫瘤の後方にみられるエコーレベルのことで同深度のエコーレベルと比べてどうかを表します。腫瘤内部での組織構築による超音波の減衰の程度によって生じます。
例えば結石のような硬いものなどほとんど全ての超音波が反射してしまうような音響インピーダンスに差がある組織境界面はそれより後方には超音波が透過できず、無エコー域となります(音響陰影(Acoustic shadow))
例えば嚢胞など超音波の減衰や反射の少ない組織や減衰・反射の起こらない部位の後方には輝度の高い領域ができます。(後方エコー増強(PEE:posterior echo enhancement))
外側陰影
超音波の特性により、音速の異なる境界に斜めに入射した場合などで超音波ビームは屈折します。超音波の屈折は、画像を歪ませたり、位置を左右方向へずらして表示したり、二重に表示されたりといろいろなことをおこします。
おふろに手を入れると歪んでみえると思いますがこれとおなじことが起きています。この屈折が起こることでビームが到達しない領域ができることもあります。
これが腫瘤外側後方に出現する側方陰影です。
まとめ
まとめとして下記に図を示します。
なんとなくイメージが湧きましたか?
超音波検査は実際検査した人でないと知り得ない情報がたくさんあります。
そのため検査をした人は見たままの情報をわかりやすく伝えることも大切です。
それだけで診断できなくでも、良悪性の判別などに重要な情報であることに変わりはありません。
言葉は間違いないように使っていきましょう。
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