医療現場では、日々多くの「モノ」が動いています。
訪問診療用のタブレット、公用携帯、ポータブルエコー、輸液ポンプ、心電図モニター、会議室、さらには患者さんへ貸し出す機器まで。
どれも診療を止めないために欠かせない存在です。
しかし、その管理方法はどうでしょうか。
ホワイトボードやノート、口頭での申し送り。
Excelで管理しているものの、なんとなく難しいような気がして慣れない。
「なんとなく回っている」管理になっていないでしょうか。
医療DXというと大きなシステム導入を思い浮かべがちですが、現場で感じる小さな非効率こそ、見直す余地があるのではないかと感じています。
今回は、スマホで貸出管理ができるアプリ『カシカン』を実際に触る機会があったので、これが上記に挙げたような課題解決にならないか。
『カシカン』の使用感と共に、そういった考察を交えていきたいと思います。
訪問診療・エコー機・院内備品…医療現場の“属人化した管理”という課題
医療現場では、想像以上に多くの備品や機器が動いています。
- 訪問診療用タブレット
- 公用スマートフォン
- ポータブルエコー
- 輸液ポンプ
- 心電図モニター
- 面談室や会議室
- 患者貸出機器(リブレなど)
どれも日常診療を支える重要な存在です。
しかし管理はどうでしょうか。
- ホワイトボードに手書き
- ノートに記録
- 「使うときに声をかける」運用
- 誰かが把握している前提
こうした方法で成り立っている現場も少なくありません。
問題の本質は「仕組みがないこと」です。
医療機関には医療機器管理台帳があります。
しかしそれは法令上の管理であり、日常の“リアルタイム運用”とは別です。
現場で困るのは、
- 今どこにあるのか
- 誰が使っているのか
- いつ戻るのか
という情報です。
属人化した管理は、人が変わった瞬間に崩れます。
異動や退職があれば、管理の精度は一気に落ちます。
小さな非効率の積み重ねは、
やがてスタッフの負担やストレスにつながります。
では、それを変えることはできるのでしょうか。
貸出管理アプリ「カシカン」は現場運用を変えられるか?実際に使ってみた感想
■ 登録方法と基本的な使い方は?
カシカンはアカウント作成後、すぐに利用を開始できます。
アカウント登録も簡単で、『メールアドレス、担当者名、パスワード』を入力し『次へ』と進んでいくだけです。








そして基本の流れは以下の通りです。
- グループを作成
- 貸出物を登録(写真・名称・在庫数など)
- 利用日数や猶予日数を設定
- QRコードを発行して貸出開始
スマホで写真を撮るだけで登録できるのは直感的でした。
貸出はカレンダーから日付を選択し、返却も数タップで完了します。
CSVインポートにも対応しているため、既存の備品リストがあれば一括登録も可能です。
操作性はシンプルで「迷わないUI」という印象でした。
医療現場では学習コストの低さが重要です。
少しでも気になったら是非こちらをチェックしてください⇩
■ 訪問診療機器との相性
訪問診療では持ち出し機器管理が重要です。
- 貸出履歴の記録
- 返却リマインダー
- 利用中の可視化
が可能になることで、「誰が持っているか」が明確になります。
個人情報は入力せず、機器単位で管理することが前提ですが、
リスク管理の第一歩としては十分現実的です。
■ エコー機の予約管理
エコー機が複数台ある施設では、
- 外来
- 健診
- 訪問持ち出し中
- 故障中
といった状態を整理できます。
スマホで空き状況を確認できるのは実用的です。
医療機器台帳の代替ではありませんが、日常運用の可視化には有効です。
■ 会議室・面談室管理
会議室管理は最も導入しやすい領域です。
重複予約防止や空き状況の可視化は、
すぐに効果を実感できるポイントです。
■ 院内備品・輸液ポンプ管理
小規模クリニックであれば、
- 在庫数管理
- 使用中表示
- 点検中タグ
などで最低限の可視化は可能です。
探す時間を減らすことは、業務効率だけでなく心理的負担軽減にもつながります。
■ 患者貸出機器の管理
リブレなど一定期間貸し出す機器では、
- 貸出期間設定
- 返却リマインダー
が役立ちます。
管理番号ベースでの運用が前提です。
■ 総合的な印象
- 操作は直感的
- 導入ハードルが低い
- 小規模施設と相性が良い
一方で、
- 医療専用ではない
- 情報セキュリティ確認は必要
- 組織規模によっては運用設計が必要
という前提があります。
それでも“小さな管理の曖昧さ”を減らす力は十分にあると感じました。
③ 医療機関で導入するなら|メリット・課題・医療DXの第一歩としての可能性
■ 導入メリット
- 属人化の軽減
- 紛失・返却忘れ防止
- スマホ完結
- 若手でも扱いやすい
■ 課題
- 医療機器管理台帳の代替ではない
- 個人情報入力には不向き
- 大規模施設では調整が必要
■ 価格と費用対効果
カシカンは、25人までであれば無料プランが利用できます。
小規模クリニックや診療所であれば、無料範囲で十分運用可能なケースも多いでしょう。
有料プランに移行した場合でも、大規模医療システムと比較すると導入コストは非常に低水準です。
ここで重要なのは、「月額いくらか」だけではありません。
考えるべきは、次のような“見えないコスト”です。
- 備品を探す時間
- 返却確認にかかる時間
- 重複予約による調整時間
- 紛失リスク対応
例えば、スタッフが月に合計3時間、備品確認や探索に時間を使っているとします。
人件費を仮に時給2,000円で計算すれば、それだけで月6,000円相当のコストです。
管理が整うことでこの時間が半減するだけでも、十分に費用対効果は見込めます。
さらに、無料で試せるという点は大きなメリットです。
「まずは会議室管理から」
「まずは訪問診療機器だけ」
小さく始めて効果を検証できる。
事務長視点で見ると、このハードルの低さは非常に魅力的です。
■ 小さな医療DXという考え方
医療DXは大規模なシステム刷新だけではありません。
日常の小さな非効率を減らすことも、立派なDXです。
- 備品の所在が明確になる。
- 返却忘れが減る。
- 探す時間が減る。
その積み重ねが、現場の安定につながります。
まとめ
カシカンは、医療専用の管理システムではありません。
医療機器台帳の代替でもありません。
しかし、現場で感じる「ちょっとした管理の曖昧さ」を整えるツールとしては、十分に現実的だと感じました。
訪問診療の持ち出し機器、エコー機の予約、会議室管理、院内備品の可視化。
これらは大規模投資をしなくても改善できる領域です。
医療DXは、大きな改革から始まるとは限りません。
「なんとなく回っている管理」を、少しだけ整えてみる。
その第一歩として、カシカンは一つの選択肢になり得ると感じました。
