甲状腺エコーでは甲状腺の機能亢進や低下などの実質変化と腫瘤性病変とがあります。
その中でも、甲状腺腫瘤は自覚症状として飲み込みにくかったり、触って腫れているから検査することもありますが、頸動脈エコーをやったらたまたま見つかることもしばしばあります。
実際に検査をしているとき、たまたま見つけた時に、それが良性か悪性なのか、判断に悩むことはありませんか?
筆者も悩むことはあります。
顔つきが似ている場合もあるので、無理もありません。
ただその腫瘤を今後どう経過を追っていく必要があるのかや、良悪性の基準も存在します。
本記事では甲状腺腫瘤について、特に良悪性の鑑別にスポットをおいてまとめていきます。
*ただいま記事を修正中のため読みにくい箇所があるかもしれません。
甲状腺エコーで腫瘤を見つけた時のポイントは?
まず甲状腺腫瘤を見つけたら、以下の項目をチェックしていきましょう。
- 腫瘤のサイズ
- 腫瘤のエコーパターン(嚢胞性、充実性、混合性)
- 腫瘤の形状(整、凹凸不整)
- 腫瘤と実質の境界(明瞭、不明瞭)
- 腫瘤のエコー輝度
- 腫瘤のエコー性状(均一、不均一、粗)
- 石灰化の有無
- 血流シグナルの有無
- 後方エコーの有無(増強、音響陰影)
さらに、甲状腺の実質や形状など甲状腺の機能はどうか、周囲に圧排していないか、リンパ節腫大はないか、など腫瘤の周りも診ていきます。
特にサイズ、内部性状、形状や境界は、良悪性の判断のポイントともなり得ますので、しっかりとした観察必要です。
甲状腺エコーで腫瘤の良性悪性の鑑別や判断は?
結論、良悪性の鑑別は『腫瘤の内部性状』『大きさ』『その他悪性を疑う所見の有無』をみていき、経過観察とするのか、精査が必要なのか、悪性とするのかを判断します。
ただ全ての腫瘤が当てはまるわけではない。ということをご留意ください。
甲状腺腫瘤の良性と悪性は見た目がとても似ており、鑑別が困難な場合も多いです。
その為見た目は良性だが悪性であったことや、見た目は悪性を疑ったが、良性だった。
というようなこともあるので安易に良性と言い切るのも危険な場合もあります。
不安に感じたら精査を薦めるのが良いでしょう。
以下鑑別ポイントについて詳しくみていきます。
腫瘤の内部性状
腫瘤の内部が嚢胞性なのか、充実性なのかによって、経過観察で良いのか、精査をした方が良いのか変わります。
<嚢胞性病変>
経過観察です。ただし20mmを超える場合は、穿刺吸引細胞診を行います。
また嚢胞成分があったとしても、充実部が主体の場合は充実性腫瘤として扱います。
<充実性腫瘤>
腫瘤の大きさにより経過観察や精密検査に分かれます。
大きさ
充実性腫瘤の場合は大きさによって経過観察か精密検査か分かれます。
5mm以下:経過観察です。ただし明らかな腫大がある場合や甲状腺がんのオペ後、周囲の浸潤を疑う場合や、リンパ節転移が疑われる場合は精密検査が必要です。
5mmを超える~20mm以下:その他悪性所見がなければ経過観察で、悪性所見が認められれば精密検査が必要です。
20mmを超える:精密検査が必要です。
悪性を疑う所見
良性所見 | 悪性所見 | |
形状 | 整 | 不整 |
境界明瞭性 | 明瞭 | 不明瞭 |
境界性状 | 平滑 | 粗雑 |
内部エコーレベル | 高~低 | 低 |
内部エコー性状 | 均質 | 不均質 |
境界部低エコー帯の性状 | 整 | 不整 |
境界部低エコー帯の有無 | あり | なし |
高エコー | なし | 微細多発 |
まとめ
ガイドライン等を参考にしながら、腫瘤の良悪性の判別についてまとめてきました。
超音波検査は侵襲性がなく簡単に検査ができ、第一選択にされます。
ただし検査者の写真の撮り方で良くも悪くも見えますし見落としがあればそもそも判断もできません。
甲状腺は腹部などとは違って観察の範囲は小さいですが油断せずに観察したいですね。
さて最後に腫瘤を見つけた時のみるべきポイントをおさらいします。
またこれはどの部位の腫瘤をみるときも同じだと思います。
大きくてとげとげしていてなんとなく悪そう・・
そんな印象からはいるのも良いと思いますしこの感覚をもつことが大切だと思います。
このブログで振り分けができるように少しでも参考になればと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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