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心電図の見方① ST変化ってなぜ起こるの?大事な変化を見逃さないようにしよう!

超音波・検査

どーも、もんたです。

健康診断や術前検査などでも行われる心電図。
痛みはないしすぐとれるのでよくやられる検査のひとつだと思います。
心電図の機械は自動解析がついているものがほとんどで、心電図をとるためのクリップや胸の電極の位置さえ間違えなければ結果まででてきます。

便利ですがその結果をちゃんとみていますか?
機械の判定で微妙な波形で合ったり、ノイズや筋電図が入っていると読み間違えることもあります。
とはいえなかなかというひとも多いかもしれません。
自分もなかなか学生時代は苦手な部類でした。
心電図は簡単にできる検査ですが心臓の検査。場合によっては命に係わる場合もあります。

特にST変化は虚血を表す部分。
心筋梗塞のときにも変化がでますし、このST変化は重要なポイントです。

今回はこのST変化についてみていきます。

STってなにを表している?

もんた
 
 

まずは心電図の波形の意味からそれぞれみていきましょう。

ST部分は心室の興奮から興奮終了までの間にあり通常基線と同程度の高さにあります。
それより上がれば『ST上昇』下がれば『ST低下』といいます。

所見や疑われる疾患

もんた
 
 

さてここからはSTの変化があったときに考えられる疾患についてみていきましょう

ST上昇

心電図所見

QRS-ST junction(QRS波とST部をつなぐ)から0.04秒後の、基線からの距離が、1mm以上上昇した状態をいいます。2つ以上の隣接した誘導(V2とV3など)での0.1mm以上のST上昇を典型的なST上昇として、ST上昇型心筋梗塞の診療に関するガイドラインに記載されています。

疑われる疾患

ST上昇で一番に重要な鑑別疾患は急性心筋梗塞です。それ以外にも、冠攣縮性狭心症、心筋梗塞後心室瘤、急性心膜炎、左室肥大、左脚ブロック、心筋炎、たこつぼ心筋症、Brugada症候群などでST上昇がみられます。

しかし左脚ブロックがあるとこのST変化がわかりにくい場合があります。
以前から左脚ブロックがある場合にはSgarbossaの基準というのが役に立ちます。

この基準では以下のような所見を認める場合は、心筋梗塞の特異度が高い所見としています。

  1. 1:QRSと極性が一致(concordant)した1mm(0.1 mV)以上のST上昇(感度 20%、特異度98%)→5点
  2. 2:QRSと極性が一致した1 mm(0.1 mV)以上のST低下がV1~V3で認められる(感度 20%、特異度98%)→3点
  3. 3:QRSと極性不一致(discordant)の5 mm(0.5 mV)以上のST上昇(QRS complex – T wave axes discordance)(感度 40%、特異度80%)→2点

→3点以上で虚血ありと判断されます。

ST上昇の疾患について緊急度別で表にします

緊急度 疾患名
急性心筋梗塞、肺血栓塞栓、劇症型心筋炎、たこつぼ症候群
冠攣縮性狭心症(治療抵抗性では緊急度高となる)、急性心膜炎
緊急治療を要せず 左室肥大、左脚ブロック
ST上昇疾患緊急度

また若年男性の9割には1mm以上のST上昇がV1-V4誘導のうち1つ以上の誘導でみられ、特にV2誘導で最もよく認められます加齢により低下します。

ST低下

心電図所見

QRS-ST junction(QRS波とST部をつなぐ)から0.04秒後の、基線からの距離が、1mm以上低下した状態をいいます。

ST低下には以下のパターンがあります。

  • 水平型
  • 下降型
  • 盆状型
  • 心室ストレイン
  • 接合部型

このうち、

  • 「水平型」と「下降型」は虚血性変化によるもの、
  • 「盆状型」は薬物副作用(特にジギタリス)によるもの、
  • 「心室ストレイン」は心室肥大に伴う負荷所見
  • 「接合部型」は非特異性のST変化と言われていてこの波形からはあらゆる疾患の可能性

と言われています。

疑われる疾患

虚血、心肥大、貧血、電解質異常、薬物服用時、低カリウム血しょう、左室肥大、心筋症
健康な中年女性でも見られます。

ST変化の機序

もんた
 
 

ここからは生理学的な話になります。ST変化はどうしておこすのか。はっきりしたことは実はまだ解明されていませんが、考えられているものの一つを紹介します。

ST上昇の場合は冠動脈が閉塞し完全に虚血を起こした場合です。
ST低下は冠動脈が狭くなっていて部分的に虚血になっている状態です。

変化の機序

まず心臓には心筋がありその内側に心内膜、外側に心外膜があります。
そして冠動脈は心外膜の方を走っています。

このため冠動脈が狭くなっていて血流が少なくなると遠い方の心内膜側から虚血になっていきます。

心筋のなかでも内側から血液が足りなくなり、外側がなんとか血液が送れているという状態になります。

続いて電位の話になります。
一言で言ってしまうと電位はナトリウム、カリウム、カルシウムの電解質が移動することで起こります。

正常だとこの電解質の移動がうまくいって電位は低い状態(-)で保たれます。

しかし虚血になってしまうとこの移動に必要な機能がおかしくなり虚血しているところだけ電位が高くなります。(+)

ST上昇の場合

ST上昇=完全に虚血を起こした場合その部分は心内膜側も心外膜側も(+)の状態になります。正常の部分は(-)なので虚血部から正常部に電流が流れていく形になります。つまり虚血部から正常部に向かって逃げているよう電流が流れているように見えます。

こうなると基線が通常より低い位置からスタートします。
脱分極をしている時は心臓の興奮はなく電気的な動きもないため通常と同じくらいの位置まで上がります。
基線が通常より低いため通常よりSTが高く見えます。

ST低下の場合

心筋の中で一部だけ虚血が起こると内側は虚血で電位が高い(+)状態で外側は正常部分で電位が低い(-)となります。

こうなると電位が高い方から低い方へ電流が流れ出して来ます。
内側から外側に向かって電流が流れるので基線から本来あるべきところより+側(うえ)に上がります。
しかし脱分極しているときは心臓の興奮はなく電気的な動きはないため通常の基線位置に下がります。

つまり元の基線が上がりST部分はそのままなのでSTが低下しているように見えます。

ST以外の全体が上がる…??

基線は心臓が興奮していないときの安静状態を表します。
このときイオンの動きを見るとKが細胞外へでています。+のイオンが出ているので細胞内は低く保たれています。
虚血が起こるとイオン交換のポンプに障害が起きます。
これによって細胞内外のKの濃度差が少なくなりKが移動しなくなる=+のイオンであるKが細胞内に増加=静止膜電位が増加となります。
静止膜電位は基準である電位であるためこれが上がれば基線も上がります。

まとめ

今回はST変化にスポットを当てました。
いかがでしたか?

臨床ではST変化の機序について知らなくても仕事をこなすことはできるかと思います。
しかし少し覚えておくと心電図をみたときにすぐ医師を呼ばなければならないものかどうか判断がしやすいと思います。

また国家試験などで出題される問題で、ST低下ー狭心症、ST上昇ー心筋梗塞など心電図変化と疾患の組み合わせ問題などを考えるときにただ組み合わせだけで覚えるのではなく、理論的なことがわかっていると記憶に定着しやすいかもしれません。

ST変化は心電図変化でとても重要なところです。
見逃さないようにしましょう。

ではまた。

 

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