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腹部エコー~肝臓 解剖編~

腹部エコー

どーももんたです。

腹部超音波検査の基礎編として解剖をやっていきます。
今回は肝臓です。
超音波検査を行うにあたってとても重要で基本である解剖。
最初にぶつかる壁かもしれませんがしっかり覚えたいところです。
ここをしっかりやっておくことで描出の幅も拡がり、病態を覚えるにも役立ちます。

  • 肝臓が体のどのあたりにあり、周りにはなにがあるのかという全体像。
  • クイノーの分類を含めた肝臓の解剖。
  • 超音波像からみた肝臓の解剖。

この3項に対してまとめていきます。
ではいきましょー。

もんた
もんた

挿絵が下手なのは・・ご愛敬でおねがいします<m(__)m>

体全体から見る肝臓

肝臓は体のどの位置にあり、どれくらいの大きさで周りになにがあるかわかりますか?

右鎖骨中線上は第5肋間から肋骨弓まで広がり、心窩部ではの下に出ていて、その下縁は剣状突起・胸骨連結部の少し下に位置します。
接地面としては以下の通りです。

上面:横隔膜
下面:腹壁
右葉前部:右結腸曲 後部:右腎・右副腎
左端後面:脾臓

肝臓の解剖

肝臓は右の上腹部を占めるとても大きな臓器です。重さとしては成人で1200~1400gほどです。

上方が横隔膜に接していますが一部は癒着しています。このため呼吸によって横隔膜が動くと同時に肝臓も動きます。
肝表面の大部分は腹膜で包まれます。
この臓側の腹膜は折り返して横隔膜を覆う壁側腹膜に移行します。折り返しの襞は肝臓の前面で肝鎌状間膜を形成します。この肝鎌状間膜下縁には肝円索が含まれます。この肝円索は胎生期に臍静脈としてとして機能していたものが産まれてから使われなくなり変化したものです。
この肝鎌状間膜、肝円索ともにエコーでみえることもあります。
また左葉の内側区域と外側区域を分ける参考にもなります。

肝臓内の血管と胆管

血管

肝臓の栄養血管は門脈(4/5)がほとんどで残りは固有肝動脈(1/5)です。
肝臓に流れ込んだ門脈は類洞で動脈血と混合され肝細胞で代謝され小葉中心静脈に流れます。これが集まって肝静脈となり肝門を経ずに下大静脈に流れます。
門脈は消化管などから流入しているためここにがんができると血行性に転移しやすいです。

流入:門脈(4/5)、肝動脈(1/5) 流出:肝静脈
胆管のルート
毛細胆管→小葉胆管→肝内胆管→左右肝管→総胆管→肝外

超音波像では肝動脈、胆管、門脈がいわゆるミッキーマウスサインとして同時に描出できます。
位置関係は以下の通りです。

もんた
もんた

今回は肝臓がメインなのでここまでですがこれ以降は別に胆嚢胆管のページで詳しく書いているのでそちらもご覧ください!

腹部エコー~胆嚢・胆管 解剖編~

肝区域

肝区域の分類はエコーではクイノーの分類が使われますが他にハーレイの分類、人体解剖的な分類といくつかあります。

人体解剖的には肝左葉を尾状葉、外側区域、内側区域でわけ、右葉は前区域と後区域でわけます。
超音波で使われるクイノーの分類はこの区域をさらに細かく分類されています。
尾状葉は変わらず尾状葉でS1です。外側区域はこれを上下に分け上区域がS2下区域がS3になります。
内側区域は方形葉といいこれがS4です。ここまでが左葉になります。

続いて右葉は前区域、後区域をそれぞれ上下にわけて前区域上区域がS8前区域下区域がS5後区域上区域がS7後区域下区域がS6になります。

区域の分け方

さてではこの区域はどうやってわけていくのでしょうか

実際に肝臓に目安の線が入っているわけではありません。
血管などで目安が分かり易い場合もありますが超音波検査は良くも悪くもいろんな方向から見ることができる検査であり同じ区域であってもプローブの当て方で目安にしていた血管が見えないこともあります。

では今写っているのがどこだかわかるようになるにはどうしたら?

まず導入として区域はそれぞれの門脈枝を中心にしたエリアでその門脈枝と同じ名前がついています。
エリアといっても平面でなく立体で考えなければいけません。
その為区域を分けるのも線ではなく奥行きがある分『面』で考える必要があります。
こんなことを念頭に置きながら考えていきましょう。

まずは左葉右葉を分けます。
これは下大静脈と胆嚢窩を結ぶ仮想の線であるカントリー線中間静脈が作る面で分けます。

次に左葉を分けていきます。
まずは肝円索と左枝臍部を結んだ面を境界として左右二つに分けます。これらが内側区域(S4)外側区域となります。
次に外側区域を上下に分けます。境界には左肝静脈があり頭側が左外側上区域(S2)、尾側が左外側区域(S3)です。

最後に右葉を分けましょう。
まず腹側と背側に分けます。
境界は右肝静脈で腹側が前区域、背側が後区域となります。
この前区域、後区域をそれぞれ上下に分けます。
この境界は特にありませんが中心に門脈枝があります。
まとめると次のようになります。

 

  1. 左葉と右葉:下大静脈とカントリー線:中肝静脈が走行
  2. 左葉の内側区域(=S4)と外側:肝円索と左枝臍部
  3. 左葉の外側を上区域(=S2)下区域(=S3):左肝静脈
  4. 右葉の前区域、後区域:右肝静脈
  5. 前区域、後区域:中心にそれぞれの門脈枝が通る。明確な境界はない

 

超音波像からみる肝臓

もんた
もんた

ここまで解剖をみてきました。

最後に実際の超音波ではどのようにうつるのか実際の画像でみていきましょう

まず心窩部縦走査の画像はこちら

心窩部横走査、肋弓下走査はこちらです
まずは心窩部横走査で左葉側を写した画像です。

ここからは右葉です。

この走査では下から覗き上げるようにみています。
足側から頭の方を見ているようなイメージです。
そのためよくみる解剖図は真正面からみたものですが、この超音波像を考えるときには解剖図を上下反転させて考える必要があります。

肋間走査にいきます。


肋間走査は体の横から当ててるので横からみた解剖図を考えます。
頭側から肋骨の間にプローブを当てて観察していきます。
S8とS5が描出され中肝静脈が間に走っている画像がでます。
これで一肋間下げる
今度はS8とS5が描出されるのは同じですが前区域枝と前下区域枝の門脈がでてきます。
更に一肋間下げると
S8とS6が描出され右肝静脈が間に走ります。
更に一肋間を下げると
S7とS6が描出。後上区域枝と後下区域枝が走っている画像がでてきます。

もんた
もんた

コンベックスプローブは厚みがあり肋間走査は難しいですが描出できるところから描出できなくなるところまでしっかり見ていきましょう。

最後に

さて僕なりに肝臓の解剖についてまとめてみました。
絵をつけるのに時間がかかってしまいました。
しかし解剖図を描いてみるとしっかり覚えられ、また、絵を描けないところが今わからないところが一目瞭然です。
解剖を覚えたら今度は超音波画像を見てそこに何があるかを見ていきましょう。
解剖は何のために?と思う人もいるかもしれませんがしっかり覚えていると同じ写真でも見えてくるものが増えていきますよ。

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